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引用元: 年下男に求愛され続けてた話していいですか

<同窓>■1話 ■2話■3話 ■4話
<別窓>■1話 ■2話■3話 ■4話
※更新後、リンクが繋がります
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139: 名も無き被検体774号+ 2012/10/16(火) 00:22:12.68 ID:Wwj7gZ4M0
ゆうちゃんはやく~( ^ω^ )

141: 2012/10/16(火) 11:59:07.67 ID:0FPwm60r0
すみません、手元にPCの無い生活だったので更新できませんでした(´・ω・`)
こんなにレスを頂いててビックリしましま
本当にありがとうございます
御期待に添えられるかは解りませんが続き書いていきます(´・ω・`)


142: 2012/10/16(火) 12:02:57.09 ID:0FPwm60r0
「解った、いいよ」と返事をした時の彼のリアクションは可笑しかったです
え!!!!!!!とロビー全体に響き渡る大声を発し、
鳩が豆鉄砲喰らったような顔をしていました
そしてよく解らないけど何度も両手で顔をゴシゴシしていました
「まじかーまじかー」と呟きながらw
「受験がんばりなよ」と声をかけると、頭が取れそうになるくらい何度も頷く彼
「しばらく勉強に専念するから連絡できないけど元気でね」と彼からメールが入ったのは、その晩のうちでした
どれもこれもが、素直に可愛いと思いました
彼の良くも悪くも正直過ぎるリアクションに、昔から好感を持っていたのは事実です
だから彼の気持ちがダダ漏れの時も、戸惑うことはあっても悪い気はしませんでした

143: 2012/10/16(火) 12:09:59.92 ID:0FPwm60r0
そして本当に連絡は試験当日までありませんでした
当日の朝、「いってきます(絵文字)」とだけメールが入ってきました
そのとき私はマンションのロビーで既に待機していたので、
エレベーターから降りてきた彼に直接「行ってらっしゃい」と声をかけました
相変わらずの鳩豆顔でしたw
「待っててくれたの?」と彼が聞くので「たまたま」と答えておきました
期待を持たしてはいけないので・・・

すると彼は「朝から会えるなんて今日はツイてるみたいだから
試験も上手くいく気がする」
そう言って意気揚々と会場へ向かって行きました


144: 2012/10/16(火) 12:11:43.35 ID:0FPwm60r0
合格発表の日、彼からのメールで私は目を覚ましました
「今日会える?」
合否結果は直接伝えたいようだったので、
私はドキドキしながら約束の時間を待ちました
「抱きしめたい」云々よりも、
彼が無事に合格できたのか、それだけが本当に気掛かりでした


145: 2012/10/16(火) 12:15:20.86 ID:0FPwm60r0
そして待ち合わせの時間、マンションのロビーで私は彼を待ちました
とてもドキドキしていました
でもエレベーターから彼が降りてきた瞬間、すぐに合否結果が解りました
彼から放出されているオーラが全てを物語っていたから

私は心からの「おめでとう」を彼に伝えることができました
彼は涙目の私を見て、はにかみながら
「よっしゃー」とガッツポーズしてました
「あ、ギューしてくるかな」と一瞬緊張しましたが、
その日彼が私に触れることはありませんでした
話題にも出てこなかったので、忘れたのかな?と思っていました


146: 2012/10/16(火) 12:20:02.37 ID:0FPwm60r0
そして私は無事に高校を卒業し、彼も中学を卒業しました
三人目の彼氏とは三学期が始まってすぐの頃に別れていました
でも私の青春時代を捧げた(大袈裟ですかねw)その人のことを、
私はしばらく引きずっていました
初めて本気で人を好きになったような気がしてたから

その人と別れたこと、今までで一番その人が好きだったこと、
けんごには伝えてはいませんでした


147: 名も無き被検体774号+ 2012/10/16(火) 12:21:18.95 ID:sXJI9AOK0
ちょと待て!
もう鳥をつけるべきだと思うんだ
わかりません、とか言うなよww

148: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/16(火) 12:25:54.89 ID:0FPwm60r0
鳥できてますか?


そして少し長めの春休み
私はけんごの部屋に呼び出されました
ついにこの日がきた、と少し怖い気持ちになっていました
「もう無理やりチューしたりしないよ」その彼の言葉を信じていなかったのかもしれません
そしてどのように拒めばいいのかも解らなかった
けれど約束は約束です
私は彼の部屋に訪れました
玄関先に出てきた彼も緊張しているようでした
お互い意識してギクシャクしていたように思います
彼の部屋に通され、しばらくは談笑していました
昔から沈黙は苦手だったけれど、この日の沈黙の間が一番私を焦らせました
話がとぎれる度にキョドキョドしていました

150: 名も無き被検体774号+ 2012/10/16(火) 12:30:22.97 ID:sXJI9AOK0
鳥おk

20年後には3つの歳の差なんて無いも同然になるけど、10代の3年はデカいな

151: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/16(火) 12:31:44.37 ID:0FPwm60r0
そして「約束さ、覚えてくれてる?」と、彼が少し声を震わせて問いかけてきました
勇気を出して言葉にしたのだろうから、真摯に向き合わなければ
そう思いました
「うん、大丈夫、任せろ」私がそう答えると、
彼は一つ大きく深呼吸をし、ゆっくり立ち上がりました
私も釣られて立ち上がります
彼が照れ臭そうに「では」と言い、控え目に両腕を広げました
私は「では」が少し可笑しくて、不思議と落ち着いて彼の胸へ歩み寄ることができました
彼に近付きながら、こんなに胸が広かったんだと
不思議な気持ちになったのを覚えています
彼に招かれた両手の中で、私は直立不動で彼の一挙一動を待っていました

156: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/16(火) 12:38:52.65 ID:0FPwm60r0
しかし何のアクションもありません
ん?と彼を見上げると、ビクッと震えた彼と目が合いました
至近距離でこんな風に見上げるのは初めてで、彼の顔が羞恥の色に染まっていた事よりも
「大きな男の人になったんだなぁ」という事に気を取られました
何気なしに「しないの?」と聞くと同時に、
ゆるりと彼の両腕で体を締め付けられました
「ごめんね、心臓の音まじうるさいけど、ごめんね」
私の耳元でそう言った彼の心音は、確かに大きく動いていました
それはもう私に伝染する程
ちょうど彼の左胸に頬を寄せる感じで抱きしめられていたので、彼の胸の音がダイレクトに伝わります
なんだかとても大変なことをしているような錯覚に陥って、
もはやこの心音が私のものなのか彼のものなのか解らなくなっていました

155: 名も無き被検体774号+ 2012/10/16(火) 12:38:25.37 ID:pybWOK7B0
いい男だなぁ
一途だなぁ

158: 名も無き被検体774号+ 2012/10/16(火) 12:41:12.68 ID:Azn7zeRm0
あーもーだめだ
何このキュンキュンする感じは
なつかしすぎるよ


俺ちょっと図書館行って来る

160: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/16(火) 12:47:15.42 ID:0FPwm60r0
ゆるめに抱きしめられていたけれど、
最後にぎゅーーーーーって強く抱きしめられ、彼は私を離しました
そして私に背を向けると、大きな深呼吸を何度も繰り返していました
あの時と同じだ、と思いました
幼い彼が私にキスをしたあの時
その時も彼は何度も大きな深呼吸をしてた
今も昔も私に触れる時は息を止めてしまう彼に、私は胸が弾むような感情を抱きました

初めて、彼を「愛しい」と思いました

162: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/16(火) 12:54:30.87 ID:0FPwm60r0
書いてて恥ずかしいです
羞恥プレイのよう
まだこんなんが続きますが大丈夫ですかすみません


164: 名も無き被検体774号+ 2012/10/16(火) 12:59:08.49 ID:Azn7zeRm0
かまわない。つづけてください

167: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/16(火) 13:02:02.99 ID:0FPwm60r0
「どどどどどうでした?大丈夫でした?満足ですか?あはははは」
どうも私は焦ると喋り倒す習性があるようでw、つい雰囲気をぶち壊しにかかりました
彼は両手で顔を覆い、「ウン、イヤ、ウン、ウン、えっと、うん」と繰り返しました
「なに」と焦って聞き返すと、
「ゆうちゃん小さいね」と相変わらず両手で顔を覆いながら答えました
「やかましい!けんごが大きくなったんだよ!ばか」と、つい喧嘩腰になってしまう私に
「可愛くてやばい」
彼がそんな反則的な言葉を呟いた時、
なんだかいてもたってもいられなくて彼に背を向けてしまいました
だってどんな顔すればいいのか解らない
もう何がなんだか解らない
ただただ、震えるほどにドキドキしていました


169: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/16(火) 13:11:54.69 ID:0FPwm60r0
一瞬衣擦れの音が聞こえ、咄嗟に後方を意識した時には、再び私は彼の胸の中に収まっていました
後ろから私の肩を両腕で抱きかかえて、私の髪に顔を埋める彼
彼の呼吸が私の髪を通り抜け、私の首に触れました
初めての息遣いにゾクゾクしました
でも不愉快なそれではなかった
嫌でも彼を意識してしまうそれでした

そして彼は何度も何度も繰り返しました
「好き」と
言葉の回数の分だけ、彼の腕の力も強くなります
もう泣きそうになるくらい、どうすればいいか解らなかった
でも息が上がるほどドキドキしていました


170: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/16(火) 13:14:08.79 ID:0FPwm60r0
「ゆうちゃん好きだよ」「ゆうちゃん好きだよ」「ゆうちゃんごめんね」「ゆうちゃん好き」
何度も何度も、絞り出すように吐き出す彼に、私は逃げ出したくなりました
と言うか逃げました
「任務完了!」とかなんとか可愛げのない事を言って彼を振り解き、
「じゃあね!また!」と顔も見ずに走って帰りました




190: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/16(火) 21:04:28.82 ID:0FPwm60r0
震えるほどにドキドキしたのは初めてで、家に帰ってもしばらく動揺し続けていました
あんな去り方をしてしまったことを彼に詫びなければならないのに
一人置いてきぼりにされて、彼はきっと不安でしょうがないだろうから
でもメールの一つさえ私はできなかった
なんて送ればいいか解らなかったし、今は自分の気持ちを整理したかった
少し時間が欲しかった
でも、その日の夜更け、彼からメールがきました

192: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/16(火) 21:06:58.10 ID:0FPwm60r0
そのメールを開くのすら躊躇してしまった私
しばらくしてやっと開いたメールには、こう綴ってありました

キモかったよねごめんね
ゆうちゃんの彼氏にも悪いことした
本当にごめん
もう俺ゆうちゃんのことちゃんと諦めるから大丈夫だよ
今までごめんね

絵文字の一つもないそのメールに、彼を深く深く傷つけてしまった事、
いえ、何年もかけて傷つけ抜いていた事を改めて実感しました


193: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/16(火) 21:09:08.61 ID:0FPwm60r0
諦めるから
彼のその言葉に当時ひどく動揺したのを覚えています
確かに私は自分の気持ちが解らなかった
けれど今日あんなにドキドキした
今日初めて彼を愛しいと思った
そんな感情を知った矢先に、彼から離れていってしまうなんて
私は、傷ついていました
こんな自分勝手なことあってはならないけれど、
今まで彼をずっと傷つけていたのは私だけど、
ひどい喪失感に打ちのめされていました
考えるのを放棄するように、私は彼のメールを無視しました
これでまた一つ新たに傷つけてしまったと、初めて彼を思って泣きました


195: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/16(火) 21:11:43.54 ID:0FPwm60r0
春休み中に彼とバッタリ会うことはありませんでした
勿論連絡も取っていませんでした
けれど、あの日から一度も彼を意識しない日はありませんでした
寝ても覚めても彼のことばかりでした
けれどそれは傷つけた罪悪感に過ぎないと、結論付けることしかできませんでした
今更彼に好意を持つなんて、そんなのあってはならないことだと思っていたから


196: 名も無き被検体774号+ 2012/10/16(火) 21:12:14.35 ID:FOgtT/Uq0
それが若さということだな

197: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/16(火) 21:16:25.87 ID:0FPwm60r0
新学期が始まりました
私は元彼とまた連絡を取り始めていました
きっかけは元彼からのメールだったけれど、私にはありがたかった
早くけんごのことを頭の中から排除したかったからです
元彼は、昔のような誠実な人ではなくなっていました
私が元彼を引きずっていた期間があると知ると、体を求めてくるようになりました
一度本気で好きになった人だし、振られた事でずっと心の中で引っ掛かっていた人だから、
私は元彼を受け入れました
あわよくばまたこの人と復縁できないだろうか、とも考えていました
全ては、けんごのことを考えたくないからです
元彼と会う度に感じる虚無感には気付いてない振りをしていました
最悪です

199: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/16(火) 21:19:57.20 ID:0FPwm60r0
そんな中身のない日々が初夏まで続きました
学校生活や、元彼との不誠実な関係には慣れました
けれどけんごがいない生活にはいつまでも慣れませんでした
会いたい、と思うことすらありました
もはや元彼の存在理由が何だったのか、自分でも忘れていました


パソコンの設定に手間取っています
だから今日はここまでかもしれないです
長引きすぎて早くこれ終わらせたいので明日頑張ります
読んでくださってありがとうございました



198: 名も無き被検体774号+ 2012/10/16(火) 21:18:37.40 ID:GRFVnz6k0
おう…軽い女になっちまったる…

200: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/16(火) 21:23:14.84 ID:0FPwm60r0
>>198
本当ですね・・・

206: 名も無き被検体774号+ 2012/10/16(火) 22:15:02.19 ID:Wwj7gZ4M0
焦らすね~
そこもまたいいが

223: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/17(水) 16:07:02.07 ID:sTv0KB2U0
こんにちわー
続き書いても書いても長くなる・・・
要領が悪い私です
できるだけ早く書き終えたいんだけど
思い出しながら書いてるとアレもコレもと出てきて省略できない・・・
苛々させてしまったら申し訳ないです
そろそろお出かけの準備をしなくちゃなので更新できる分だけ置いていきます

228: 名も無き被検体774号+ 2012/10/17(水) 16:26:48.04 ID:Cq8XIWxi0
いいよ、いいよ。
長くなってもいいから丁寧にお願いしやす(((o(*゚▽゚*)o)))


225: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/17(水) 16:20:23.69 ID:sTv0KB2U0
一度だけ、自宅付近で彼を見かけました
自転車に乗った彼が、私を追い抜いて行ったのです
走り去っていく彼の後ろ姿しか見えなかったですが、ふいに香った懐かしい彼の匂いや、
初めて見た高校の制服姿に、胸がひどく痛みました
私を追い越すとき、彼も後ろ姿の私に気付いてくれただろうか
気付きながらも、するりと追い抜いて行ったのだろうか
説明しようのない感情が私を襲いました
寂しさ、もどかしさ、切なさ、自分への嫌悪感
その場に倒れ込みたい衝動を必死に抑えて、歩みを進めました


226: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/17(水) 16:22:01.83 ID:sTv0KB2U0
薄着になり日が高くなり始めた頃、
ついに、彼と鉢合わせました
ロビーでオートロックを解除している時、後ろから現れたのが彼でした
心臓が止まるかと思うほどの衝撃でした
片方の口角を上げて、彼は複雑そうに私を見ました
「ひさしぶり」
本当に久しぶりな彼の声に、胸がドキドキと高鳴り、チクチクと痛みました
「ひさしぶりだね」かすれた声しかでませんでした
せめてもっと可愛い声を出せたら良かった

227: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/17(水) 16:25:27.76 ID:sTv0KB2U0
「学校慣れた?」そう尋ねながら、彼が横に並んで歩いてくれています
ただそれだけの事があまりにも懐かしく、あまりにも嬉しく思いました
昔はこれが当たり前だったんだよな、と胸が締め付けられる思いでした
当たり障りのない近況報告をし合い、二人でエレベーターに乗り込みました
私は馬鹿みたいに一人でずっとドキドキしていました

「ゆうちゃん、俺彼女できたよ」
彼が私から目を逸らし、控え目な笑みを浮かべてそう言いました

229: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/17(水) 16:29:42.43 ID:sTv0KB2U0
言葉が出なかった
喉元が一気に締めつけられて、息が止まるかと思いました
そんな私が上手に笑顔を作れるわけもなく
ただ「そうなんだ」と発するだけで精一杯でした
そんな時にエレベーターが私の階に到着
逃げ出したい衝動から、私はそそくさと出て行こうとしました
「なんでおめでとうとか言ってくんないの?」
彼が[開く]のボタンを押しながら言いました
「何そのリアクション」「ゆうちゃんはホッとするとこじゃん」「なんでお祝いしてくんないの?」
堰を切ったように、彼は吐露し続けました

230: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/17(水) 16:35:30.66 ID:sTv0KB2U0
彼の怒りを含んだ声を聞いたのは初めてでした
けれど怖いとかいう感情はなくて、ただただショックで呆然としていました
しばらくの沈黙の後、
「ごめん、行って」
彼が静かな声で私を促しました
言われたままに、ノロノロとエレベーターから降りることしかできない私
エレベーターが閉まった時、ガラスの向こうの彼と目が合いました
犬みたいだと思いました
こんな時に相応しくない感想かもしれないけど
昔、哀愁を背負っていた彼をそう例えていた時のように、犬みたいだと思いました
エレベーターが事務的に上昇していったけれど、私の胸は少し綻んでしまいました
鼻の奥はツンとしていたけれど、
唇を噛みしめなければ泣いてしまっていたけれど、
彼の犬みたいな瞳を思い出して、少し微笑ましい気持ちになったのです

234: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/17(水) 16:39:03.81 ID:sTv0KB2U0
ほんのりと胸が暖まったところで、一呼吸おいて冷静になれました
祝福しなければ、と思いました
でないと、彼が自分の幸せを、自分の新しい恋を、
手放しで喜べないだろうと思ったからです
ずっと好きだった私に「幸せになってね」と言われれば、
彼は私から解放されるのだろう
彼がさっき言っていた「なんでおめでとうとか言ってくんないの?」は、
きっとそういう意味を含んでいるのだろう


236: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/17(水) 16:42:09.06 ID:sTv0KB2U0
「さっきは何も言えなくてごめんね
おめでとう!幸せになってね!
寂しくて、つい言いそびれちゃったけど
本当にけんごの幸せを祈ってるよ」
私は彼へこんなメールを送りました

いわゆる強がりだけど、私の方がお姉さんなんだから、これくらいどうって事ない
私が彼氏できたって言ったら、けんごは「良かったね」と言ってくれた
私に怒りをぶつけることなく、黙って話を聞いてくれた
いつも私のために強がってくれた、折れてくれた、譲ってくれた、我慢してくれた
今度は私の番だと思いました
けんごのことはとても好きだけど、笑って送り出してあげなければ

250: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/17(水) 21:35:32.11 ID:sTv0KB2U0

けれど彼からの返事は意外なものでした

「寂しかったってどういう事?」
ただその一文だけでした
この返事は予想だにしてなかったので、少し戸惑いました
でも最初で最後に、少しだけ素直になってみました

「けんごに彼女ができちゃって寂しかった
自分勝手でごめんね」
こんなメールを送った私は、きっと女の敵ですね
私が彼女だったらイラッとしますもん
でも最後だから送ってしまったのです

「なにそれ(笑)
ゆうちゃんにも彼氏いるじゃん」
彼からのそのメールで、
確かに元彼と別れた事を伝えていなかったのを思い出しました

「別れたよ」

そう送った返事は、
「でも最近ゆうちゃんとあの人が一緒にいるとこ見たよ」でした


251: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/17(水) 21:39:22.47 ID:sTv0KB2U0
この返事が来たときには頭が真っ白になりました
夜の友達といるところを見られたわけだから
一番見られたくない相手に見られていたなんて
自分の浅はかさを恥じました

どこまで説明すればいいか解らず、散々悩みました
夜の友達扱いされてるだなんて、言えるわけなかった
それに私ばっかりが被害者なわけじゃない
寂しいときに彼を利用したのは私だ
かと言って、ただの友達だと嘘をつくのも気が引けて

「寂しいときに一緒にいてもらったんだ」
そう送りました


256: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/17(水) 21:45:36.59 ID:sTv0KB2U0
またも彼からのメールは予想外のものでした
「今から会える?」

彼からの唐突な誘いに戸惑ったけれど、
何か吹っ切れたような気もしていたので、うんと答えました

そしてロビーで待ち合わせ
切なさもあったけれど、久しぶりのシチュエーションを少し喜んでいました
エレベーターが開く音がして、さっき振りのけんごがそこには居ました
どんな顔をすればいいか解らなかったけど、けんごの顔がさっきより幾分穏やかで、
私の頬も少し緩みました
「少し散歩しようか」彼の提案で、久しぶりに図書館までの道のりを歩きました

急に会おうと言い出した彼には、きっと何か話したいことがあるんだと思いました
そしてそれはきっと彼女の事だろうと予想もついていました
笑ってお祝いしなくちゃ、と思いました
さっきできなかったのだから、次こそは、と


261: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/17(水) 21:50:42.30 ID:sTv0KB2U0
「もうあの人に会うのやめてほしい」
彼が唐突にそう言いました
「あの人って、元彼?」「そう」
まさかこんな話だとは思いもしてなかったので、かなり驚きました
しかも彼のその言い方に、私と元彼の不誠実な関係を
読まれてるんじゃないかという不安も生まれました
「なんで?」
ずばり言い当てられるのかもしれないと思いつつも、そう尋ねました

263: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/17(水) 21:58:27.48 ID:sTv0KB2U0
「寂しい時は俺呼んでほしいから」
「ゆうちゃんが俺に彼女できて寂しいって思ったのは
恋愛の意味でじゃないかもしれないけど、でも、
ゆうちゃんが寂しいって思うなら、俺はもう彼女は作らない」
「今の彼女には悪いけど、俺、ゆうちゃんの気持ちに全部応えたいって思った」
「きもい?俺きもいよなー」
彼はそう言いながらも、満面の笑みを見せてくれました
私はというと、胸がいっぱいで、
みるみる涙が目に溜まっていってるのが解りました
私は本当に自分勝手な人間なので、嬉しかったのです
こんなの、彼女さんに悪い、けんごにも悪い、解っていても本当に嬉しかった
同時に、彼に抱きしめられたあの日から続いた地獄のような日々が思い出されて
まさかこんな日が来るなんてって夢みたいに思えて
「けんご、私けんごのこと好きになっちゃってた」
思わず、号泣しながらそう告げてしまったのです


269: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/17(水) 22:08:45.58 ID:sTv0KB2U0
「えっ」またあの鳩豆顔で彼が驚きました
「好きって恋愛のやつ!?」「うん」「まじか!!!」
よっしゃーーーーーーーーーと、
嘘みたいに、漫画みたいに、両方の拳を突き上げる16歳が
愛しくて愛しくて堪らなかった
なんだかホロホロ涙が止まらなくて、そんな私を見て彼は
「え?あれ?どうしたの?でも俺嬉しいし、あれ?」とアタフタし出すし、
それはとてもカオスな状況でしたw


265: 名も無き被検体774号+ 2012/10/17(水) 22:01:45.52 ID:H9T0iR9d0
かっこかわいい宣言みたいなセリフ言いやがって・・・
寄り目にしたろか・・・ッ!!

266: 名も無き被検体774号+ 2012/10/17(水) 22:02:51.80 ID:W7N1hTKh0
けんごいい男

272: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/17(水) 22:12:24.93 ID:sTv0KB2U0
少し落ち着いた頃、
「いつから?いつから好きになった?」
見えないけど尻尾をぶんぶん振りながら彼は聞きました
「抱きしめられた日から」と答えると、
「そっかーーーー!!!…あれ?でも割と最近だね」と一喜一憂する彼
私の気持ちもパンッパンッになってて、もうパンク寸前で、
一度好きだと伝えると何度も伝えたくなって
「かわいい」「すき」「かわいい」と何度も繰り返しました
顔を真っ赤にしてキャッキャッと喜ぶ彼を見ていて、何だか本当に嬉しかったです

275: 名も無き被検体774号+ 2012/10/17(水) 22:15:59.37 ID:Vel+S0O/O
「すき」より「かわいい」が多い辺りがなんか可愛いw

276: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/17(水) 22:16:30.88 ID:sTv0KB2U0
そして図ったかのように、私たちが出会った図書館の前で、
あの春振りに抱き締められました
「ゆうちゃん、長かったよ」
彼が私の耳元でそう呟き、その声が少し震えていて、
小学生だった彼を思い出しました
なんだかあの眼鏡の少年が堪らなく愛しく思えて、ふと上を見上げると
半ベソかいてる愛しい高校生がいて、「かがめ!」と言ってチューしたったです
唇を離して「三年振りだ」と冷やかすように笑うと、バツが悪そうに彼はハニカんでいました
二人で浮き足立って、手を繋いで帰りました
「俺達、彼氏彼女?」「いや、飼い主とペット」「」「けんごは柴犬」
幸せってこういう事か、と痛感した帰り道でした



277: ◆DuoCt8/SKk 2012/10/17(水) 22:17:53.53 ID:sTv0KB2U0
だああああああああああああああ恥ずかしい
終わり終わり!!!解散!!!

279: 名も無き被検体774号+ 2012/10/17(水) 22:18:58.39 ID:NmxAdlopI
だめええええ!
最後まできかせて!
キュン死にしまくった責任とってよね!

288: 名も無き被検体774号+ 2012/10/17(水) 22:25:41.70 ID:+T0B22iQ0
小学生から一途かあ、すごいなあ、

301: 名も無き被検体774号+ 2012/10/17(水) 23:06:14.06 ID:INAJo8Yf0
なんという少女漫画

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