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引用元: 胸がスーッとする武勇伝を聞かせて下さい!(101)

399: おさかなくわえた名無しさん 2011/09/14(水) 01:35:51 ID:pkCE42zq
ちょっと深酒してるので読みづらかったら勘弁。
深酒の理由はT君の訃報を聞いたからです。明日じゃなくて
明後日お通夜だそうです。

===

T君は産まれながらに障害児でした。詳しくは知らないけど、
言葉を喋るにも一苦労。「こんにちは」というだけで顔面中の筋肉を
使うので、まるで顔芸でもしているよう。何も知らないクソガキ共は
T君が喋るたびにゲラゲラと笑っていました。俺もそのクソガキの一人でした。

でもT君は何事にも一生懸命で、そんな彼の姿に、友達もどんどん増えました。
小学校を卒業する頃には、端からは滑稽に見えるT君の仕草を笑う級友は一人も
いませんでした。

神様はそんなT君に素晴らしい贈り物を用意していました。言葉と音楽の才能です。
彼は素晴らしい詩を作り、素晴らしい音楽を作りました。楽器を演奏することは
いくら頑張ってもできなかったけれど、歌は上手でした。一生懸命に歌っていました。

T君とは同じ中学、同じ高校に進みました。でも、その高校には悪い奴がたくさんいて、
T君はよく虐められていました。同じ小学校を出た俺や何人かの友達はT君をかばって
喧嘩をしましたが、そんな努力をよそに、T君自身の頑張る姿に友達がどんどん増えて行きました。

高校2年の学園祭で、T君はバンドを組んで演奏することになりました。うちの高校の
学園際では音楽フェスティバルがあって、30組くらいがエントリーしていました。
ビジュアル系、ハードロック系、フォーク系など、さまざまなバンドが歌った後で、
T君のバンドが舞台に上りました。クラスメートはみな固唾を呑んで演奏に聴き入りました。
(続きます)

400: おさかなくわえた名無しさん 2011/09/14(水) 01:36:10 ID:pkCE42zq
(続き)
でも、演奏を始める前から、T君の仕草に会場から笑いが起こりました。率先して笑っていたのは
3年のヤンキーグループです。下品なヤジも飛ばしていました。演奏が始まると、T君の顔は
一層こわばり、子供の頃にクソガキ共が笑っていたのと同じように、会場は爆笑の渦に包まれました。涙を流して笑っている女子もいました。俺やクラスメート達は怒りと心配で
いてもたってもいられない気持ちでした。

それでもT君は一生懸命に歌い続けました。その歌はとても素晴らしい歌詞で、
T君の歌声も聴く人の心に響いていました。T君の滑稽な(滑稽に見える)動作を
笑っていた人達も、次第に歌に聴き入るようになりました。やがて笑う者は一人も
居なくなり、誰もがT君の歌声に酔いしれていたのです。本当に素晴らしい歌でした。

T君が歌い終わると、会場は喝采の嵐。ヤンキー達も立って拍手をしていました。
音楽が人を変える瞬間に立ち会った、そんな気分でした。T君のバンドは優勝しました。

T君の才能は本物で、高校を出てから5年後にインディーズからCDを出しました。
ライブは盛況、やがてスカウトの目に止まり、メジャーデビューの話も来たそうです。
地元のマスコミにも取り上げられました。

でもT君は地道なライブ活動を続ける道を選びました。自分に残された時間が少ないことを
知っていたのかも知れません。そして昨日、T君は寝ている間に呼吸ができなくなり、
命と引き替えに自分を産んでくれたお母さんの元へと旅立ってしまいました。

どんなに笑われても一生懸命に生きていたT君。自分の姿を笑っていた人達を歌で
感動させたT君。学園際のライブでの熱唱は、とても誇らしいT君の武勇伝です。

合掌。

403: おさかなくわえた名無しさん 2011/09/14(水) 07:32:07 ID:8kqfCmhl
>>400
いい話だなぁ・・
T君は誰にも迷惑をかけず、自分の力で友達を作り、努力して夢をかなえた訳でしょう
産んですぐに亡くなったお母さんがずっと見守っていたんだろうな
優しい武勇伝、ありがとう



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